Dr.Kのあゆみ Vol.4(医学部入学!)
今回のブログはこれまでの「Dr.Kのあゆみ Vol.1〜3」の続きになります。
(「Dr.Kのあゆみ Vol.1」はこちら)
前回の(「Dr.Kのあゆみ Vol.3」はこちら)
医学部入学
私は1年間の予備校生活を終え、無事に医学部に入学することができ、スポーツドクターになるべく新生活がスタートしました。私が卒業した大学では、「医師は体力勝負の仕事である!」という名目で、運動部に入部する人が8割方で、運動部からの勧誘がすごく、私も流されるままに運動部に入りました。大学でミュージカルもやりたいなぁと思っていたので、あまり活動が激しくなさそうなバレーボール部に入りました。見た目が華やかで綺麗で、爪も長くお洒落な先輩方が勧誘してくれたので、てっきりサークル程度の部活かと思いましたが、「冠婚葬祭以外休んではいけない」というルールのもと、綺麗で長い爪にはがっちりテービングをして、ゴリゴリと練習する部活だったのです。「まさかこんなことに!」と毎日ボールを追いかけながら、想定外の展開にとまどいつつも、体育会寄りな学生生活が始まったのです。
祖父と私
ここで、少し大学生活とは離れますが、祖父のことを書きたいと思います。
私の祖父は、田舎で内科の開業医をしていました。今の都会の医療からは考えられませんが、その地域皆知り合いで、内科外科問わず、どんな患者さんも診ていました。医師として患者さんを診察することが生活の一部になっている感じで、医師という仕事にとても誇りをもっていました。
祖父は、子供の頃から多くの病気にかかって手術も沢山受けたようで、私が子供の頃は、よく祖父から「この傷はいついつのこういう病気の時についたものだ」と、自慢気に手術痕を見せながら説明を受けていました。今思えば、私と祖父とのコミュニケーションは医学に関する話題が多かった印象があります。ちなみに、祖父が医師として経験した治療のエピソードは本当に面白く、30年以上前の治療でおそらく時効ではないかと思いますので、またいつか記事にしたいと思います。祖父は患者としても、多くの経験をしました。
どうやら、祖父は孫の私にどうしても医学部へ行って欲しかったようです。私が浪人し、医学部受験をした頃には80歳を越えていましたが、合格発表の数日前、私が受験した学校に電話をして、「孫の合否が知りたい」と尋ねて断られている様子を見た祖母から私のもとに電話がありました。祖母は笑いながら、「おじいちゃんがこんな電話していて。」と説明してくれましたが、とても恥ずかしくなったとともに、「そこまで医学部に行って欲しいんだ。女の子である孫の私にそこまで思うなんて、医者ってそんなに魅力的な仕事なのかな?」とまだ経験したことのない医師という職業に興味がわきました。
祖父の死
そんな祖父は、私の医学部合格をとても喜んでくれました。私が合格した時は80歳を過ぎていましたが、祖父は70歳台で前立腺癌になり、その後肺に転移し、入退院を繰り返していました。私は祖父が実際にどういう治療を受けたのか詳細は知りませんが、病状が落ち着いたのか、比較的調子が良さそうで、祖母のいる自宅に戻ることができました。80歳を過ぎても、認知機能は衰えておらず、大昔からよく知っている地域の人に限って、診察を続けていました。
私が大学一年生の春のバレーボールの大会で遠征していた時のことです。日中も元気よく走り回り、夜もずっと元気であった私が、夜中に突如高熱を出し、うなされ始めたのです。その日の明け方、「祖父が亡くなった」と連絡があり、6年生の先輩が車で遠征先から自宅まで連れて帰ってくれました。家族は、祖父母の家に向かっていました。体調が悪かった私は、「家で寝て待っていなさい」と言われ、一人高熱にうなされ続けました。一眠りし、その日の夕方の家族が戻ってくる頃には熱がスーっとひいていきました。熱以外に症状が全くなかった私は、まるで何事もなかったかのように、普通に戻りました。今振り返ると、祖父が亡くなる時に、医師としてやり残したこと(があったかどうかはわかりませんが)や熱い思いを「たすき」のように私に託した「メッセージ」を高熱という形で、受け取ったのだと思います。
あとから祖母に祖父が亡くなった日のことを聞きました。亡くなる前日、祖父は夜いつものように紙のカルテを整理し、いつものように床につき、祖母の横でスヤスヤ寝ていました。前立腺癌だったので、夜中に何度もお手洗いに行っていた祖父が、珍しく気持ち良さそうに眠っていたので、祖母は「穏やかでよかったなぁ」と思いながら寝ていたようです。翌朝、祖母が目を覚ますと、祖父は苦しんだ様子もなく、そのまま帰らぬ人となっていました。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。最近、よく「祖父の時代の医療はどんな医療だったのだろう」「医者としてどういう景色を見ていたんだろう」と祖父のことを思い出すことが多くなっていました。そういうタイミングでの今日のブログは気がついたら思ったよりも多めに祖父について書いていました。久しぶりに、少し癖のある祖父と話がしたいと思った今日この頃です。
さて、「Dr.Kのあゆみ」はまだまだ医学部に入りたてです。次回は、「初めての手術経験」のお話です。よろしければ、ご覧ください。
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