Dr.Kのあゆみ

Dr.Kのあゆみ Vol.16(後期研修医1年目②〜NY〜)

後期研修医 ニューヨーク

Dr.Kのあゆみ Vol.16(後期研修医1年目②〜NY〜)

今回のブログはこれまでの「Dr.Kのあゆみ Vol.1~15」の続きになります。
「Dr.Kのあゆみ」シリーズVol.1はこちら
「Dr.Kのあゆみ Vol.15」はこちら

ニューヨーク旅行


腎臓内科での後期研修医が始まり、大変ではありましたが、楽しく充実した日々を過ごしていました。腎臓内科時代は、病院からの電話から100%解放されるお休みが、夏休みの1週間、年末年始2日間の9日間ありました。その他は、土日も含めて休みがなかったので、今となっては良くやっていたなぁと思いますが、初期研修医時代から洗脳(!)されていたので、あまり抵抗なく働いていました。
「Dr.Kのあゆみ」で書くことを忘れてしまいましたが、大学6年生の終わりに、友人と二人で「本場のミュージカルを観よう」と、生まれて初めてニューヨークに行きました。憧れのミュージカルの本場で、夜は毎日、昼公演がある日は昼と夜とミュージカルを観ました。その中でも忘れられなかったのは、「オペラ座の怪人」でした。この時、クリスティーヌ役を演じていたのがJennifer Hope Willsさんという女優さんなのですが、舞台が始まり、彼女が最初にクリスティーヌとして舞台に出てきた時、第一印象はあまり良くなく、思わず友達と顔を合わせて、残念ジェスチャーをしてしまいました。しかし、彼女が最初のクリスティーヌのソロ「Think of me」を歌い始めた時に、自分も友達も一気に引き込まれ、一曲聴いただけで、二人とも涙しながら強く拍手を送っていました。何度も日本で観た「オペラ座の怪人」とはまた違った作品のように全身に電流が走ったような感動があり、1幕も2幕もずっと泣きっぱなしで、あっという間に終わってしまいました。その夜は興奮しながら劇場を後にして、ホテルに帰ってから二人ともすぐに親に電話して、思わず「産んでくれてありがとう」と言ったほどでした。その感動があまりにも忘れられず、私は同じくミュージカルが大好きな母や妹を連れて必ずニューヨークに行きたいと思っていました。


腎臓内科に入って初めての夏休み、母と妹と三人でニューヨークへ行きました。たまたま予約したホテルがタイムズスクエアのど真ん中のマリオットマーキースというホテルで、母はニューヨークのエネルギーと窓を開けてすぐ見えるタイムズスクエアに大興奮して、旅行中はあまり眠らず、ずっとニューヨークを満喫していました。私もニューヨークからエネルギーをもらい、日頃の仕事から離れとてもリフレッシュできました。人生二度目のニューヨークでしたが、すっかり魅了されました。このニューヨークとの出会いも今後私の人生に大きく影響することになります。


ちなみに、私がブロードウェイで最初に感激した「オペラ座の怪人」ですが、その後ブロードウェイで10回以上、ロンドンのウエストエンドで1回観たのですが、役者さんが違うとまた全然雰囲気も変わり、自分の引き込まれ方も全然違いました。一番初めに観た時ほどの衝撃の感動は、その後2回ほどしか味わえていないように思います。どのタイミングでどの役者さんでみるのかというのも一期一会で生の舞台を観る醍醐味なのかもしれません。

腎臓内科でのあれこれ:コーンパン事件


腎臓内科での研修の話に戻ります。今の私は腎臓内科時代の上司に影響されているところはとても大きいです。自分の役職、立場が上になっても、まるで教科書のように患者さんを丁寧に診察し、夜間に緊急透析をお願いした時などは、コメディカルのみんなにも必ず差し入れをし、私たちや研修医にもよく指導してくれました。わからないことはわからないと言う上司だったので、自然と私もわからないと言えるようになりました。年に1回のミュージカルの時期には、毎年差し入れをしてくださり、私が病院を卒業した後も毎年差し入れしてくれていると仲間から聞きました。
そんな上司はプライベートでも、よく部下のことを思い出してくれるようです。
普段、いつ病院から電話がかかってきても大丈夫な状態にしているのですが、たまにどうしても銭湯に行きたくなり、「今日は患者さんが落ち着いており問題ないだろうなぁ」という土曜日の夕方に、同期と銭湯に行っていました。銭湯は、脱衣場でも携帯を使用するのは禁止されていることが多いですが(盗撮などの予防策として当たり前ですが)、私たちは風呂の中に携帯を持ち込めるビニールを購入し、その中に携帯を入れ、体を隠す用のタオルで携帯電話を隠し、バイブにして手に持って温泉につかりました。
ある日、温泉につかっていると、手に握ったタオルの中の携帯が鳴っています。病院からの電話だと思い、慌てて脱衣場に向かい、半ば濡れたまま脱衣場の端へ行き、グルグル巻きのタオルから携帯を取り出しました。画面には上司の名前があります。私はてっきり、自分が病院からの電話に出られなかったので、上司に電話がかかったのだと思いました。電話に出て、「先生、すみません。病院から電話がありましたか?」と言うと、とても明るく元気な声で、「違うよー!今コストコにいるんだけど、先生、コーンパンいるかい?買ってきてあげるよ」と言われ、てっきり何かあったのだと思った私は、ホッとして「コーンパンかーい!」(と心の中でつっこむ)と腰が抜けそうになりながら、コーンパンをお願いして温泉に戻りました。腎臓内科時代は、こういうちょっとしたスリルを味わいながら、銭湯に行きました。病院を離れ、銭湯に行くたびに、携帯を持つことなくリラックスして浸かる温泉に、幸せだなぁと思います。

腎臓内科でのあれこれ:コース料理事件


上司と私が出席した勉強会の帰り、美味しいものが好きな上司とコース料理を食べて帰ろうという話になりました。席について、コースを頼み、前菜がきたところで、病院から電話がありました。出ると、腎臓内科を回っている研修医の先生からで、私が担当し、上司が主治医をしている患者さんが熱を出したという連絡がありました。横に上司もいるので、報告し、研修医の先生に「これからすぐに採血とレントゲンを取ってもらえますか?結果が出る頃に病院に戻るから」と伝えて電話を切りました。上司と二人、前菜を目の前に「さて、どうするか」ということになり、上司は店員さんに「僕たち急いで出ないと行けなくなったから、コース料理、全部並べてもらえますか?」と伝えました。早かったです。瞬く間にテーブルの上にコース料理が並び、私たちは10分ほどでデザートまで食べ終え、急いでレストランを後にし病院へ戻りました。このような、途中で戻る系の面白いエピソードは沢山あります。焼肉バージョン、カラオケバージョン、ディズニーランドバージョンなどと揃っていますが、テーブルにコース料理が並んだのは圧巻でした。
よく上司も含め腎臓内科メンバーで食事に行ったのですが、腎臓内科メンバーで食事に行くのは、とても楽しく、グルメな先生方が多く、呼ばれた時も心強い私にとっては心地よい時間でした。


今回も読んでいただき、ありがとうございました。今回は、今後のキーワードの一つニューヨークとの出会いのお話を書きました。明日は後期研修医1年目に起きた東日本大震災のお話を書きたいと思います。よろしくお願いします。


にほんブログ村に登録しています。ランキング形式になっています。
多くの方に読んでいただけたら嬉しいので、
もしよければ、この下のバナーをクリックお願いします!
(クリックすると、にほんブログ村のサイトへアクセスします。)
にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

ABOUT ME
Dr.K
都内在住の30代女性。 内科医として、西洋医学・東洋医学を学び、現在都内で勤務医をしています。 自身が幼少期から気管支喘息、アレルギー体質であり、また大学時代の左前十字靭帯断裂後手術を受け、そして現在、変形性股関節症と向き合っています。 このブログでは、私自身が抱える健康問題に関して、西洋医学・東洋医学・代替療法・民間療法・スピリチュアル的なアプローチなど、興味が湧き、自分で納得したものを取り入れ、その結果をシェアしていきたいと思います。ゆくゆくはHolistic(ホリスティック)医学(=人間をまるごと全体的にみる医学)を提供できる医師を目指しています。