Dr.Kのあゆみ

Dr.Kのあゆみ Vol.6(歩き方を忘れる!!)

歩き方

Dr.Kのあゆみ Vol.6(歩き方を忘れる!!)

今回のブログはこれまでの「Dr.Kのあゆみ Vol.1,2,3,4,5」の続きになります。
(「Dr.Kのあゆみ Vol.1」はこちら)
(「Dr.Kのあゆみ Vol.2」はこちら)
(「Dr.Kのあゆみ Vol.3」はこちら)
(「Dr.Kのあゆみ Vol.4」はこちら)
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スポーツドクター断念


私は自分の手術中に、目標にしていた「スポーツドクター」を早くも断念しました。悲しかったというよりは、意外にあっさり「自分には違うかな」という感じでした。
あの時麻酔科の先生が、尋ねてくれずに手術中眠っていたら、もしかしたら今頃私はスポーツドクターになっていたかもしれません。このタイミングで違うと思わなかったとしても、その後にそう思う出来事が起こり、いずれにせよスポーツドクターを断念したかもしれません。今回の経験のように、「ほんの少しのきっかけで人生が変わる」ことは思ったよりも多いと感じています。このブログで自分の人生に起きた出来事を書くことで、私自身「少しのきっかけ」がちりばめられていることに改めて気づかされました。これまでの人生で数え切れない「少しのきっかけ」を取捨選択しながら、今の自分がありますが、アドバイスを聞き入れながらも、必ず自分が納得した上で選択しています。自分で納得して選択すると、他人のせいにすることができませんし、後悔することが少ないように思います。今は、意識的に「少しのきっかけ」を大切にするようにしていますが、多くの人にその機会を与えていただき、改めてありがたいと思い直したところです。
少し話がずれてしまいましたので、戻します。医学部の早い段階で新たな目標を探すことになり、そして手術により作り直してもらった出来立てホヤホヤの靭帯を新たな仲間に迎えて復帰を目指していきます。

手術後の足に体重をかけるのが怖い!


前十字靭帯再建術は、自分の身体の一部の腱を採取して、膝の上下の骨である大腿骨と脛骨にトンネルを掘り、その中に採取した腱を通し、両端を金属で留める方法が一般的です。インターネットで調べると、今は、手術後比較的早期から、手術した足に体重をかけていく(荷重)ようですが、私が手術を受けた時には、まずは車椅子ですごし、1週間ごとに体重の4分の1、3分の1、2分の1、3分の2などと少しずつ体重をかけて(=荷重をかけて)いきました。
手術後、まずは車椅子生活が始まりました。学校は病棟の隣だったので、私は病室から車椅子で学校に通いました。同級生が朝病室に迎えに来てくれて、車椅子を押して学校に連れて行ってくれました。自分で学校の車椅子用のスロープを通ってみたのですが、上りはスロープが比較的急だったので、腕の力が結構必要で、休むと後ろに下がるので、大変でした。下りは手でブレーキをかけていかないとスピードがつくので、思ったよりも怖く感じました。このスロープは病院のものではなく、あまり使われることのない大学にあったものなので、少し角度が急だったのだろうと想像しますが、スロープさえあれば何でもOKという訳ではないのだなぁと思いました。友人の力も借りながら、車椅子生活は無事に終わりました。
いよいよ、手術をした足に荷重をかけていきます。最初は、看護師さんと一緒に、体重計に手術した足を乗せて、体重の4分の1までの重さとなるまで力をかけていきます。「はいこの位の力のかけ具合ですね。覚えておいてくださいね」と言って看護師さんはあっさりと、体重計を撤収します。「待って〜!もう一回!忘れそう」と思いながら、私は一人で、「このくらいだったかな?」と力をかけながら足をついてみます。1週間足に全く体重をかけていなかったので、怖くてなかなか思うように力が乗せられません。一番怖かったのはお風呂の時で、「しまった!多分3分の2くらいの体重をかけてしまった!再建した靭帯、切れていないよね?」とヒヤヒヤすることが何度かありました。今は比較的早くから荷重していく治療方針なので、今振り返るとそう簡単に切れないことはわかりますが、当時、あれだけ体重のかけ方を細かく刻まれると、さすがに少し神経質になってしまいました。

リハビリ開始


リハビリは手術が終わってから早々に始まりました。術後、1週間近く膝を伸ばした状態で固定していたため、膝はすっかり曲がらなくなっていました。サランラップの芯のような筒に足の裏を乗せ、少しずつ膝を曲げる練習や、タオルを床にひき、足の指だけで掴んで引き寄せる練習が始まりました。膝を曲げるのは芯の力を借りて比較的曲げられるのですが、ある程度曲がるようになってくると、曲がったままになり、伸ばせなくなります。伸ばす方はなかなか難しく、シンプルなリハビリの内容なのに最初は脂汗をかきながらやっていました。日に日に膝の曲げ伸ばしがスムーズになっていくのが救いでした。最初の頃は理学療法士さんと一緒にリハビリをしていたので、毎日続けることができましたが、途中から理学療法士さんとのリハビリの日数が減り、「自分で病室で続けてね」と言われた頃から、少しサボりました。自分できちんと続けることがとても難しかったです。

歩き方を忘れてしまう


さて、荷重の話に戻します。手術から順調に経過していき、ちょっとずつ荷重を増やしていきました。約1ヶ月後、ついに松葉杖なしで両足で歩くことを許可されました。物ごころついて、手術を受けるまで、「歩く」ことは自然なことすぎて、意識したこともありませんでした。当然、もともと歩いていたように何事もなく歩けると思っていたのです、が!、1ヶ月ぶりに歩いてみると、歩き方がよくわからないのです。自然に歩けず、「手の振り方はどうなっているんだっけ?次は右足前っと・・・」と意識するともっと歩けず、生まれたての子鹿のようにプルプルしながら歩き始めました。幸い、歩き始めて数日で歩き方を思い出し、元のように歩くことができるようになりました。入院前は普通に歩いていた高齢の患者さんが、短期間入院しただけですっかり歩けなくなることを経験しますが、筋力低下と合わせて、歩くことを忘れてしまうということもわかる気がします。


今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。思ったよりも前十字靭帯の話が長くなってしまいました。ここから先は、また部活に戻り、部活漬けの毎日が始まります。次回も是非ご覧ください。ありがとうございます。


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ABOUT ME
Dr.K
都内在住の30代女性。 内科医として、西洋医学・東洋医学を学び、現在都内で勤務医をしています。 自身が幼少期から気管支喘息、アレルギー体質であり、また大学時代の左前十字靭帯断裂後手術を受け、そして現在、変形性股関節症と向き合っています。 このブログでは、私自身が抱える健康問題に関して、西洋医学・東洋医学・代替療法・民間療法・スピリチュアル的なアプローチなど、興味が湧き、自分で納得したものを取り入れ、その結果をシェアしていきたいと思います。ゆくゆくはHolistic(ホリスティック)医学(=人間をまるごと全体的にみる医学)を提供できる医師を目指しています。