Dr.Kのあゆみ Vol.9(医師国家試験)
今回のブログはこれまでの「Dr.Kのあゆみ Vol.1~8」の続きになります。
「Dr.Kのあゆみ」シリーズVol.1はこちら
「Dr.Kのあゆみ Vol.8」はこちら
医師国家試験について
無事に目標としていた病院で働けることが決まりましたが、国家試験に合格しなくてはせっかくのチャンスが無駄になってしまいます。大学6年生で受ける大学の卒業試験に合格し、卒業見込みがもらえると医師国家試験の受験資格を得ることができます。国家試験も、少しずつ変化しているようですが、私の時代は、2月中旬の3日間で(2018年から2日間に変更になったようです。)、9つの試験を受けます。受験生を最も緊張させるのは、「禁忌肢問題」と呼ばれる設問です。「医師になる者としてこれだけは間違えてはならない」という問題が「禁忌肢問題」と呼ばれ、試験に織り交ぜられており、どんなに成績が良くても、「禁忌肢問題」を3問間違えると、それだけで一発不合格となってしまいます。受験生にはどの問題が「禁忌肢問題」なのかはわからないので、精神的にこたえます。また、私たちの学年から出題形式が変わるという話で、一体どのように変わるのか、皆でドキドキしていました。ちなみに、国家試験に合格できなかった場合は、医学部は卒業しているので、一年浪人して翌年再度国家試験を受験します。一人で勉強するのは大変なので、国家試験対策の予備校がいくつかあります。
次に、国家試験の試験対策についてお話ししてみようと思います。私の大学は少し特殊かもしれません(他大学の方法は知りません)ので、一般化はできないと思います。
6年生になると6人で一部屋、勉強部屋が与えられ、各部屋には各自の机と、共用の冷蔵庫、電子レンジ、ソファを置いて、24時間自由に出入りして勉強することができるシステムになっていました。家具や家電は、部活の先輩から譲り受けるものがほとんどでした。大切に使い、後輩に引き継ぎます。勉強道具は全てこの部屋に置いて、勉強は主に学校でしていました。
大学は国家試験合格率をとても気にしていたので、先ほどの予備校が提供する現役生向けの講座や模擬試験を積極的に取り入れていました。大学のカリキュラムの中に予備校が提供する国家試験とほぼ同じ日程で模擬試験が入っていました。また、通常の講座に加え、国家試験直前は予想問題と復習を主体とする直前講座もありました。
国家試験は、1日目に出た内容の一部が2日目、3日目も出たりすることがあるので、1日目にわからなかった問題は必ず復習するようにします。試験が終わったら、その日の夜までに予備校が簡単な試験の解説と回答を作成し、それを用いて復習したり自己採点をしたりしました。
また、国家試験は3日間ありましたが、私の大学は自分たちの大学と国家試験会場となる大学が遠かったため、学年全体でホテルに2泊3日宿泊し、ホテルから全員貸切バスにに乗り、会場に向かうという流れになっていました。
試験対策として、大学4年生〜6年生の間、国家試験対策委員会というものが立ち上がります。有志のメンバー(約10名)で構成され、私も友人に誘われそのメンバーに入りました。大学4年生では、国家試験期間中以外は特に大きな仕事はなく、国家試験期間中に6年生の泊まるホテルに差し入れに行ったり、3日間国家試験終了後に予備校が作成する資料を先輩全員分コピーして、各部屋に届けたりします。大学5年生では他大学の国家試験対策委員会のメンバーと交流会を行ったり、国家試験期間中に4年生に指示を出したりします。大学6年生の国試対策委員会の仕事は、模擬試験などのスケジュール調整や、予備校の講座の調整、バスの調整など、そして最も大変だったのはホテルの部屋割りでした。ホテルは一人部屋と、二人部屋とあり、価格も違います。6年間で色々なドラマもあり、国家試験期間中、皆が心地よく過ごせる部屋割りに随分苦慮しました。
国家試験到来
いよいよ、国家試験の本番がやってきました。「出題形式の変更の噂は本当なのか?」「一体禁忌肢問題はどのくらいあるのか?」など、不安な点がたくさんありました。これまで、本番と同じ時間割で模擬試験を何度か受けたので、同じ要領で解いていけば良いはずなのですが・・・、模擬試験の時に何気なく解いていた問題でさえ、一つ一つ考え込み、気軽にマークできません。「実はこの問題が禁忌肢問題で間違ってしまっていないか?」などが、何度も頭をよぎります。1日目を終えた感想は、「くたくた」でした。「あの模擬試験は何だったのだろう」と思うほど、桁違いに疲労困憊しました。そんな状態だったので、1日目も2日目も、後輩が準備してくれた予備校からの資料を見たか見ないかの状態で寝落ちしてしまいました。国家試験期間の3日間は本当にあっという間で、ただただ疲れました。
全てが終わって、予備校の資料をみて自己採点をし、「禁忌肢問題」を3題以上間違えていなかったら、合格しているだろうと思いました。しかし、何せどの問題が「禁忌肢問題」かわからいので、確信も持てないまま、合格発表まで1ヶ月以上過ごすことになります。ひとまず国家試験のことは忘れて、仕事が始まるまでの1ヶ月間は旅行したり、4月からの働く準備をして過ごしました。
国家試験合格発表
と見出しをつけたものの、実は、国家試験の合格発表の時のことは全く覚えていません。このブログを書くにあたり、当時の状況を思い出そうとするのですが、一体どのようにして合格発表を見たのか、全く思い出せないのです。詳細はわかりませんが、無事に合格していました。国家試験の発表が3月末のギリギリだったため、新しい職場の寮に入り働き始めるまでの期間が短く、慌ててバタバタと引っ越しをしたことしか覚えていないのです。研修医時代の同期の中には、国家試験合格発表前に早々に寮への引っ越しを済ませている子もいましたが、私は「もし落ちていたら、引き揚げるのが実に恥ずかしい」という思いから、合格発表を待って引っ越しました。寮へ引っ越した日に、私の前の部屋の女性が、「どうも〜」と挨拶してくれました。ちらりと見えた部屋がすでに生活感がしっかりあったので、「先輩かぁ、優しそうだなぁ。それにしても、1年住むと生活感が出て違うなぁ」と思ったのですが、翌日の新研修医オリエンテーションにその女性がいて、まさかの「同期」でした。とてもびっくりしたのを覚えています。こうして、少し慌ただしく研修医生活が始まりました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今回は医師国家試験について書いてみました。次回は、研修医生活についてです。見ていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村に登録しています。ランキング形式になっています。
多くの方に読んでいただけたら嬉しいので、
もしよければ、この下のバナーをクリックお願いします!
(クリックすると、にほんブログ村のサイトへアクセスします。)
にほんブログ村