医学・健康について思うこと

「医学・健康について思うこと」Vol.15(「台風」による「天気頭痛」と漢方治療)

「台風」による「天気頭痛」と漢方治療

「医学・健康について思うこと」Vol.15(「台風」による「天気頭痛」と漢方治療)

台風12号接近中(2020年)


関東に台風12号が接近しています。
当初報道されていた進路よりは東にそれて関東直撃とはならずに済みそうですが、天気による頭痛を持っている方は辛いのではないかと推測します。

私は普段天気によって体調は変動しない方ではありますが、昨日は朝から少し頭痛がありました。
東洋医学の外来には、天気によって頭痛をはじめとした身体の不調が出てくる方が沢山通院されているので、このような気候の時は大丈夫かなぁ?と気になります。

頭痛について


気象要素(気圧の変動や湿度、気温など)によって何らかの症状や不調が出てくるものを「気象病」といい、中でも気圧の変動によるものを「天気痛」(頭痛の場合は「天気頭痛」とも)と表現することがあります。

「頭痛」と一言で言っても、

 ✔︎気圧の変動で起こる頭痛
 ✔︎肩こり・首こりによって起こる頭痛(緊張性頭痛)
 ✔︎月経に関連して起こる頭痛
 ✔︎片頭痛(脳の血管拡張や三叉神経の炎症と関連があると言われている。片頭痛も、天候や月経との関連がある。)
 ✔︎日頃の緊張が緩んでリラックスした時に起こる頭痛
 ✔︎睡眠不足による頭痛
 ✔︎二日酔いによる頭痛
 ✔︎薬物乱用頭痛(鎮痛剤を飲む頻度が多くなると、薬によって頭痛が起こるようになる)


などなど、その原因は様々です。

漢方治療では、「頭痛」という同じ主訴に対しても、その原因によって処方する薬が大きく変わります。
既に、自分がどういう時に頭痛が起きやすいかがわかっている場合は、それを医師に伝えてもらうと助かります。
もし、パターンがあまりつかめていないようであれば、「頭痛ダイアリー」をつけてきてもらうことが多いです。

文字通り、カレンダーに

 ✔︎頭痛が起こった日
 ✔︎痛みの程度
 ✔︎天気(できれば前後数日間)
 ✔︎睡眠時間
 ✔︎ストレス度合い
 ✔︎飲酒
 ✔︎鎮痛剤内服の有無
 ✔︎女性であれば月経期間

などを簡単にメモしておいて、原因を客観的に見てみる方法です。

今回は天気による頭痛について書いてみようと思います。

漢方医学でみる「天気頭痛」


漢方医学で「生体に起こった異常を捉える方法」の1つに「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があります。
「気」はエネルギーを、「血」は血液を、「水」は血液以外の身体の中の液体要素をイメージしていただけたらわかりやすいのではないかと思います。
この3つのバランスが崩れた時、不調が出てきます。

気血水


「気の異常」、「血の異常」、「水の異常」はそれぞれ、特徴的な症状があります。
「天気頭痛」は「水の異常」(=「水毒(すいどく)」や「水滞」(すいたい)と呼びます)と捉え、水の巡りを良くする薬を使っていきます。

「水毒」と聞くと、その「毒」という言葉が強すぎて、怖く感じる方もいるかと思いますが、いわゆる「水中毒」とは違い、あまり怖くとらえずに、「体の中の水をさばくのが少し苦手」ととらえていただけたらと思います。
実際に「水毒・水滞」で使う薬は、過去の記事(↓にリンクを貼っておきます)をご覧ください。


自分が「水毒(水滞)」の傾向にあるか、わからない・・・という方は

 ✔︎「気象病」があるか (気圧や湿度によって何らかの不調が出てくるかどうか)
 ✔︎体がむくみやすいか
 ✔︎舌をべーっと前に出して、舌の縁に歯型がついているか(歯痕と呼びます)

などを見てみてください。
該当する項目があれば、「水毒(水滞)」の傾向があると考えられます。

「天気頭痛」とその対策


「天気頭痛」の傾向にある方は、「水毒(水滞)」の治療を試みる価値があると思います。
前回の記事でもご紹介した「五苓散」は良く使う薬ですが、飲み始める時に少しコツがあります。

「天気が怪しい、頭痛がきそうだ」と思うやいなや、早めに「五苓散」をしっかり1日3回飲み始めて欲しいです。
(毎日飲んでいる方はそのままでOKです。悪天候時にのみ頓服として飲む方の場合です。)
頭痛がしっかり起きてしまってから飲むよりも、早く飲み始めていただく方が効果的です。
試してみてください。
※漢方薬には五苓散以外にも水毒(水滞)に用いる薬はまだまだあります。
「天気頭痛」で困っている方は、漢方外来を受診してみるのも良いかもしれません。


また、気圧が変わるタイミングがわからないという方には、
「頭痛ーる」という無料のアプリがあるので、ご紹介します。
Apple、Android共にあるようなので、もし「天気頭痛」に困っている方や、今一つ天候と頭痛との関連がはっきりしないという方は、気圧をみてみても良いかもしれません。

頭痛ーる

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今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
「バイブレーショナル・メディスン」の続きが更新されない!!と感じていらっしゃる方もいるかもしれません。
現在、一番大切そうで、一番難しい(と私が感じている)第1章で、どのような記事にしたら良いか、悩み中です。
もう少し整理ができたらアップしますので、もう少しお待ちください。
台風の影響が少ないことを祈っています。今日も元気にお過ごしください。
次回も、是非ご覧いただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。


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ABOUT ME
Dr.K
都内在住の30代女性。 内科医として、西洋医学・東洋医学を学び、現在都内で勤務医をしています。 自身が幼少期から気管支喘息、アレルギー体質であり、また大学時代の左前十字靭帯断裂後手術を受け、そして現在、変形性股関節症と向き合っています。 このブログでは、私自身が抱える健康問題に関して、西洋医学・東洋医学・代替療法・民間療法・スピリチュアル的なアプローチなど、興味が湧き、自分で納得したものを取り入れ、その結果をシェアしていきたいと思います。ゆくゆくはHolistic(ホリスティック)医学(=人間をまるごと全体的にみる医学)を提供できる医師を目指しています。