医学・健康について思うこと Vol.7(在宅医療から学ぶ)
今回のブログはこれまでの「医学・健康について思うこと Vol.1~6」の続きになります。
「医学・健康について思うこと」シリーズはこちら
在宅診療
私は週5日の常勤として漢方内科の外来と、週に1回在宅診療のクリニックで勤務しています。
在宅診療のクリニックでは、看護師さんと二人で各ご家庭を回って診察していきます。
また、月に2回はサービス付き高齢者住宅への往診に行っています。
厚生労働省は2025年に向けて「在宅医療・介護の推進」と医療・介護機能の再編を目標としています。
在宅医療を行うには、ご家族の協力と、訪問診療を行う診療所、訪問看護、などの医療の充実、在宅系介護サービスや施設系介護サービス、これらのサービスのコーディネーターであるケアマネージャーなど様々な職種が関わって皆で支えることが大切になります。
家族の力
約2年半前から在宅診療のクリニックに勤務していますが、まず思ったのは、「家族の力」の凄さでした。
在宅医療も患者さんの重症度は差があり、認知症や足腰の低下で、高血圧などの薬をもらうのに、通院ができないが基本は比較的元気な方から、入院して、手厚い看護を必要とするような状態の方や、余命宣告を受けて自宅でお看取りまでを決めて帰ってこられる方もいます。
「家で介護をする」という決意もなかなか覚悟がいることです。
毎日のことですし、何かあった時は医療従事者であれば見慣れた光景であっても、ご家族にとっては初めてでわからないことが多いと思います。
看護師さんでも大変に思うような状況でも、パワフルに介護をしていらっしゃるご家族に出会うと、素直にすごいと思います。
在宅診療をしていると、各ご家族ごとに色々なスタイルがあり、そのご家族のこれまでの歴史なども垣間見ることができ、その1つ1つの形「全てが正解」という感覚になります。
その家族の中で、患者さんにとって、そしてご家族とっても、良い形を一緒に見つけていくのが在宅医療を行う医療従事者の役割だと感じます。
在宅医療だけが全てではない
厚生労働省も在宅医療を推進していますし、2012年に厚生労働省が作成した資料の中には、「終末期医療に関する調査」で、60%以上の国民が「自宅で療養したい」と答え(自宅で療養して、必要になれば医療機関等を利用したいとの回答も含む)、要介護状態となっても「自宅や子供・親族の家での介護を希望する人」が4割を超えたと記載されています。
こういう話が全面にくると、在宅医療で介護していくのが家族として、当たり前のことで、やらなければならないことのように捉えられがちなのを懸念してしまいます。
「お腹を痛めてこそ」お産のような話が出たりするのと似ているのかもしれません。
どうしても、国民性で作り上げた「美談」が、それ自体「美談」で良いのですが、押し付けてしまうことはよくないと思います。
大切なのは、そういうことではないと思っています。
家族の形態や、生活パターンなどで、在宅医療に向いていない家庭もあるので、「在宅医療という選択肢が用意されています。ご希望があれば体制が整っています」、ということ。
それだけで良いと思います。
「施設や病院で過ごす」というのが決して悪いとは思いません。
「施設や病院」でも、ご家族とコミュニケーションを取りながら、幸せに過ごしていらっしゃる方もたくさんいます。
大切なのは、自分達に合う形を見つけていくことです。
家族以外の他人に対して見栄えの良さは要りません。
これから国が進めていく政策の中で、その作られた価値観によって苦しむ人が増えないと良いなぁと思ったりもします。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「価値観」って流動的なのですが、結構縛ってくるものでもあり、付き合うのが難しいなぁと常々思います。
次回も是非Holistic Journeyをご覧ください。よろしくお願いいたします。
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