人生のこと、考え方

「人生このこと・考え方」Vol.8(「正々堂々」を読んで)

「正々堂々」を読んで

「人生このこと・考え方」Vol.8(「正々堂々」を読んで)


これまでの「人生のこと・考え方」シリーズ過去記事はこちらです

「正々堂々」を読みました


以前ブログでも登場した職場の素敵な先輩Y先生が1冊の本を紹介してくれました。
その本が今回ブログのタイトルにもなった
私が好きな私で生きていいんだ「正々堂々」 ハイヒールを履いたお坊さん 西村宏堂著
という本です。


本の帯には
 「LGBTQで僧侶でメイクアップアーティストが説く自分を大事にする生き方」
と書いてあり、表紙の写真がとてもキャッチーで印象的でした。


これだけキャッチーな見た目と肩書きを見ると、すごく特殊な環境で特殊なキラキラした人生を歩んでこられたのかなぁと勝手に想像しながら読み始めたのですが、ご自身の葛藤とそこから今の「自分らしく生きる」ことを見つけるまでが描かれており、自分らしく人生を送るためのヒントが散りばめられた内容で、読み終えた後、私自身も考えるきっかけをもらい、「明日からの生活に活かそう」と前向きな気持ちになりました。


本の中のエピソードは、共感できる部分が沢山ありました。
今回のブログでは、「正々堂々」を読んで、「自分らしく生きる」ために大切だと感じたことを2つの観点で書いてみようと思います。

         

  • ①「価値観」について
  • ②「我慢」について



私自身に響いた部分を挙げるため、西村宏堂さん自身が最も伝えたかったことではない可能性があります。
素敵な本ですので、興味のある方は是非読んでみてください。

価値観


「正々堂々」の中に


顔も見えない世間の価値観に
自分の人生のハンドルは渡さない


という一節がありました。
この一節を読んだ時、私自身がずっと抱えてきた感情を言葉にしてくれたような、代弁してもらったような感覚になり、自分自身がとても強くなれる言葉のような気がしました。


私たちは、生まれてからずっと、「その時々」に日本人としてある程度共通した「価値観」というものに、触れながら成長していきます。
特に日本人がもつ価値観は、大抵
 「人に迷惑をかけないように」
 「みんながそうしているから」
 「悪目立ちしないように」
 「こうすると幸せになることができるだろう」
といった、個々の幸せというよりは集団として上手くいくような考え方が多いような気がします。


そうして、この集団の共通の「価値観」が「普通」「常識」などと呼ばれるようになっていきます。


生意気なようですが、私が小学校時代に植えこまれたすぐに思い浮かぶ「価値観」は、「出る杭は打たれる」です。
田舎の小学校だったこともあり、いろんな意味で皆と足並みを揃えていないと、「目立つ」ようで、「目立つ」とすぐに色々言われました。
その環境の中で、上手くやっていくために「皆と足並みを揃えておいた方が良いな、控えめにしていた方が良いな」と言う処世術を身につけました。
次第に、「自分がどうしたいか」というより「どう行動すれば周囲と折り合いがつくか」という方が優先順位が高くなっていきました。
今思えば、自分の表現の自由が制限されたようでとてももったいないなと思います。


「日本の中で幸せになるには」という特に大きな根拠もない「価値観」もありますが、「大人たち」もそれを言われて育ってきているので、「そういうものだ」と思っているので、仕方がないと思いますが、脈々とその「価値観」が伝えられていきます。
全てが悪いわけではないですし、日本人としてとても大切な「価値観」も沢山あります。
成長の過程の中で触れる「価値観」の大変なところは、周囲の人たちが「良かれ」と思って言ってくれ、まだそれが自分に合うかどうかを子供のころはなかなか判断できないということではないかと思います。


私は恵まれていて、「家庭」の中では、「価値観」を押しつけられる経験は少なかったように思いますが、それでも小学校、中学校、高校、運動部などでしっかり日本人としての「価値観」もバッチリ埋め込まれて、その「価値観」をベースに物事考えているということにすら気づかずに生活してきました。


そして研修医になってからは、「患者さんのため」、「勉強のため」と、給料が出なくても、休日であっても「働いて当たり前」という「価値観」のもと、「給料が出ない」中働くということに最近まで違和感をもっていない面もありましたし、また、大学病院の労働形態や給与形態はまだこの「価値観」の元に設定されているようにも感じます。


少しだけ、例をまじえて書いてみましたが、自分自身の考え方を形成しているのは数えきれないほど多くの「価値観」だと思いますが、なかなか「普通」、「常識」とされる「価値観」に疑問を持たなかったり、その「価値観」をもっていることにさえ気づいていないことが多いと思います。
私自身、実際そうでした。


私が自分のもっている「価値観」(「普通」、「常識」と思っていたこと)の存在に気が付いたのは、医師として5年間働いた後に、医師を1年間お休みして1年間だけ住んだニューヨークに行ってからでした。
「あれ?普通と思っていたことが、全然普通じゃない」、「常識がここでは常識ではない」、「大切だと教えられてきたことが、それほど大切ではない」という思いを何度か繰り返していくうちに、「普通」、「常識」という言葉でいかに自分自身を縛ってきたかということに気がつきました。


ただ、「価値観」って単なるものの見方のベースとなる考え方で、実際に物理的なものではないので、ある「価値観」をもっていることに気が付いて、自分でしっくりいかなければ、すぐに自分で解放してあげられる面白いものだとも感じました。
私は、ニューヨークで「価値観」で縛られていたという事実に気づいただけで一瞬でその「価値観」から解放されたように感じました。
そして思ったのは、「価値観」で縛っていたのは自分自身だったようにも思いました。
ただ、「価値観」に気づいた後も、解放されたように感じながらも、やりたいことがあっても、人の目を気にしたりなど、心から納得していない対外的な「価値観」をベースに行動を制限してしまったりというのは、今でもよくあります。


そして、1人で「価値観」を変えても、集団の「価値観」が変わったわけではないので、「価値観」を押しつけられることもあります。
ただ、自分自身さえ「価値観」が違うということを認識すると、「私とは違う考え方として参考にしよう」と、あまり強く影響を受けることがなくなってきたように思います。


余談ですが、私が1年間医師の仕事を休んで、ニューヨークに行くことを決めた時、医学留学ではなかったので、様々なアドバイスをもらいました。
直属の上司・同僚はとても応援してくれましたが、医師がただ1年休んで語学留学などあまりメジャーな道ではないようで、「1年間も休んで大丈夫?」、「1年は長いんじゃない?」、「あまり聞かない道だけど、その後のキャリアは?」なども言われました。


その度に「産休・育休」で1年間休む人には、言わないのに同じ1年間休むことがそんなに大きなことなのかなぁ?ととても疑問に思いましたし、そのアドバイスで私が「そうですね、行きません」とか「半年にする」とか決断してその決断に後悔した時に、そのアドバイスをくれた人たちのせいにしてしまいそうで、自分として納得できなかったアドバイスに関しては、聞き流しました。
「普通」、「常識」だけをベースに判断することってよくあるとは思いますが、人に対して使う場合、それがその人を縛ってしまうリスクもあることを意識しておいた方が良いなと思いました。


ここでまた西村宏堂さんの「正々堂々」に戻りますが、「顔も見えない世間の価値観に 自分の人生のハンドルは渡さない」という言葉は、自分らしく生きていくために、世間の価値観で縛られすぎないために、心に留めておくと良い素敵な言葉だなと思いました。

我慢について


次に「我慢」についての一節がとても今の私に響きましたので、ご紹介したいと多います。

怒りは自分に正直であることを怠って
我慢をしたときに出てきやすいの。
仏教では我慢は慢心と言われてる。
我慢は自分も相手も傷つけてしまうの。



本によると、今は一般的に「辛抱する」という意味で使われることが多い「我慢」という言葉は、仏教用語で、もともとは読んで字のごとく「我を慢心すること」という意味で、自分を偉いと思い驕り高ぶって、他者を軽んじるという、よくないことの教えだそうです。


私の中でも比較的「我慢する」ことは多くて、最近はそれで悩んでいたこともありますが、本の中では、我慢している時は「それって、この人には私が必要だっていう慢心そのもの」とあり、「なるほど」と思いました。
きちんと自分の思っていることを伝えるということを怠っていたり、「相手がそれを受け止めてくれないのではないか」と、相手を信頼しようとしていないというのも、自分自身の慢心の一つだなと感じました。


そして「怒り」という感情も「我慢」とても関係があると書いてあり、とても納得しました。
我慢してきた人って、これまで我慢してきたことをあっさり他の人がやっているのを見ると「今までの私の価値観はなんだったの?私は我慢してきたのに」と「怒り」につなげることも多いということでしたが、本当にその通りだと感じました。


自分の中に「怒り」が出てきた時というのは、自分自身が縛ってきた「価値観」に気づいて、「もう我慢しなくて良いんだよ」と解放してあげるチャンスなのかもしれません

今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今日から私も少しずつ、もう不要だなと感じた「価値観」は解放していき、「我慢」していると感じたら、少しでも状況を良くしていくことを「自分らしく生きる」ためにやっていこうと思いました。
この本の表紙から受けたキャッチーさと一転して、誰もが日常の中で感じているであろう違和感や悩みを見事に言葉で表現し、明日から「自分らしく」前向きに生きるためのヒントをもらえる素敵な本でした。
私自身考えるきっかけとなり、とても楽しく読みました。


最後に本日登場した本をご紹介しておきます。




また、次回も是非ご覧ください。
よろしくお願いします。


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ABOUT ME
Dr.K
都内在住の30代女性。 内科医として、西洋医学・東洋医学を学び、現在都内で勤務医をしています。 自身が幼少期から気管支喘息、アレルギー体質であり、また大学時代の左前十字靭帯断裂後手術を受け、そして現在、変形性股関節症と向き合っています。 このブログでは、私自身が抱える健康問題に関して、西洋医学・東洋医学・代替療法・民間療法・スピリチュアル的なアプローチなど、興味が湧き、自分で納得したものを取り入れ、その結果をシェアしていきたいと思います。ゆくゆくはHolistic(ホリスティック)医学(=人間をまるごと全体的にみる医学)を提供できる医師を目指しています。