変形性股関節症のこと

変形性股関節のこと Vol.11(「エゴスキュー」実践!1回目)

エゴスキュー実践1回目

変形性股関節のこと Vol.11(「エゴスキュー」実践!1回目)

今回のブログはこれまでの「変形性股関節症 Vol.1~10」の続きになります。
「変形性股関節のこと」シリーズVol.1はこちら
前回の記事「変形性股関節のこと Vol.10」はこちら

自分の体を客観的にみる


エゴスキューは2時間の個人セラピーです。(グループレッスンもあります。)
私は、本気で股関節痛から解放されたかったので、少し頑張って個人セラピーを受けました。


個人セラピー当日。
最初に、問診票に痛みについての詳細などを記入します。そして、実際にセラピストさんから質問を受けながら、自分の痛みや体の状態を細かく伝えていきます。問診が終わったら、現在の体の状態を客観的にみるために、前後左右の4方向から写真を撮ってもらいます。
撮った写真はその場でプリントアウトしてくれます。


その写真をみて、驚きました。自分では、まっすぐ立っていると思っていたはずの体は、全然まっすぐではありませんでした。
肩と首は前方へ、そして真横にくるべき腕は前方にあり、下半身と上半身の軸がバラバラになっていました。さらに、正面からみても明らかに左右対称ではなく、左肩があがっていました。


続いて、歩き方のチェックを受け、さらに静止した状態で肩、腕、腰骨、膝の左右のバランスを見てもらいます。
私の体は「左肩が上にあがり、両手の甲が前を向き、右腰が高く、左腰が前方にねじれ、左膝が低い」ことがわかりました。
これだけ捻れていると、痛みが起こるのも無理ないなぁと妙に納得してしまうくらいでした。


そのほかに、私の体に起きている他の不調、例えば「うおの目」ができていることから、「足の指がうまく使えていないのではないか?」、また「左拇指の付け根が外反母趾になりかけている」などを指摘してもらいました。

「E-サイズ」を教わる


このようにして、自分自身の問題点と、今の体の状況がわかったところで、セラピストさんがメニューを作成してくれます。
エゴスキュー・メソッド®では運動や動きを表す「エゴスキュー・エクササイズ」を略して、「E-サイズ」と読んでいます。


約900種類ある「E-サイズ」の中から、自分に合った「E-サイズ」を組み合わせて、「E-サイズ メニュー」を作成してくれます。エゴスキューは「E-サイズ メニュー」を毎朝行うことを推奨しています。
朝行うことで、その日1日を良い姿勢で過ごすことができるようです。
私は朝の30分で行うメニューを組んでもらうことにしました。


セラピストさんが私の「E-サイズ メニュー」を作成してくれている間、私はというと、早速両足を椅子の上に乗せて行う「E-サイズ」である「スタティック・バック」というメニューを行いました。そしてセラピストさんが「E-サイズ メニュー」を作り終わったところで、「スタティック・バック」は終了し、早速メニューにある「E-サイズ」のやり方を教わります。


セラピストさんが見本を見せてくれ、その後自分で行います。この時、「何を目的として」行う「E-サイズ」なのか、そして「気をつけるべきポイント」も合わせて説明してくれます。私がやっているのを見て、きちんと実施できているかを確認し、できるようになるまで教えてくれます。


初回の私のメニューは10個の「E-サイズ」で構成されていました。
動き方を一通り習得したところで、その日は終了です。私が着替えている間に、その日作成した「E-サイズ メニュー」を印刷しておいてくれます。
プリントの中身は、メニューリストが表紙になっており、2枚目以後は写真がついた、各メニューの説明が載っています。そのプリントをしっかり読み、写真を見ることで、それぞれの動きが自分だけで再現できるようになっています。

エゴスキューを行う時の注意点は


「E-サイズ メニュー」は順番も計算されており、例えば半分の時間しか取れない日では、メニューを早く流すようにこなすことは意味がないと言われ、全てのメニューを半分の回数にし、動きのスピードはそのままにすることがポイントだと言われました。そして、時間を短くする場合もメニューを選ぶのではなく、全メニュー回数を減らし、必ずメニューの順番は守るように言われます。


面白いのが、こういうエクササイズはなんとなく「頑張ってたくさんやればやる程よい」ような、すぐに運動部時代の根性系の考え方が出てくるのですが、「自分自身の体の声を聞きながら、頑張りすぎない程度の回数を行ってください。メニューを1日に何度も行ったり、回数を増やしたりして、回復をはやめようとはしないでください。筋肉は最初は限られた刺激量のみ、有効に吸収できるようになっています。やりすぎは禁物です」と言われました。
危うく、このメニューを何度もこなそうとして、自分の首をしめ、かえって時間がとれなくなり、結局数日でやらなくなってしまう・・・という展開になるところでした。


痛みが出た場合の対処法も勉強になりました。
痛みが出た場合、自分の体の声を聞いて、大きく分けて2つの種類の痛みのどちらに該当するかをチェックします。
①痛いけど、良くなるような感じがする痛み(筋肉が動き始めたことによる痛み)
②神経にさわるような嫌な感じのする痛み
に分け、①であれば気にせずメニューを続けてOK、②だとそのまま続けることはしません。


日頃の外来で、良かれと思ってやった「筋トレや運動で逆に痛めてしまって、動けなくなり、体重が増加しました」とおっしゃる患者さんも多いので、痛みに対する対処法は「E-サイズ」に限らず、全ての運動に当てはめて、自分の体と対話しながら無理せず行うことが大切だと思います。
特に日本人は頑張り屋さんが多いように感じるので、「頑張りすぎない」、「無理しない」、「痛い思いをしてまでやらない」というのは気をつけておいた方が良いかもしれません。実際、「E-サイズ」には、歯を食いしばって、我慢して頑張るようなエクササイズは1つもありません。


そして、最後に「毎日行うこと」と言われました。
私は、不完全な完璧主義で、「E-サイズ メニュー」を何回でもやって頑張ろう、きちんとやろうという一見完璧主義っぽい自分がいる反面、一度その「きちんと」が崩れると一気にどうでもよくなったりする面があるので、せっかく自分のために作ってもらった「E-サイズ メニュー」もリストをもらうだけもらって安心して放置してしまうことが予想されました。それを恐れて、自分で毎日行うという「エゴスキュー・メソッド」の門を叩くのに時間がかかったわけですが、今回は私も手術をするかしないかがかかっていましたから、覚悟を決めていました。
今回のメニューをもらって、次の予約までは5週間ありました。私はこの5週間、しっかり毎日30分強の「E-サイズ」を行うことを誓って、自宅へと帰りました。

効果が出るのが早い!!


「エゴスキュー」初回の翌朝、「E-サイズ」を行う時間にきちんと起きることができました。プリントを見ながら、1つ1つ動きを確認しながらやってみました。難しい動きではないので、「これならできるかもしれない!」と思いました。そして、その日から日に日に体が変わっていくのを感じることができたのです。


メニューの中の1つの「E-サイズ」で、大きな気づきがありました。
「E-サイズ」は必ず、両側で行うのですが、とある「E-サイズ」をやっていると左右で明らかに感覚が違いました。
この「E-サイズ」は、「お尻の筋肉と、太ももの後面を意識して行ってくださいね」と言われていました。
そして、「どこの筋肉を使ったよいのかわかりにくいときは、目的の筋肉を少し触りながら意識をすることで、そこが使えるようになりますよ」とアドバイスをもらっていたので、痛めている左側の方のお尻と太ももの後面を触ってみると、ごっそりと筋肉がないことに気がつきました。右側と衝撃的なくらい違いました。


当時の触った筋肉がごっそりなくなっている感覚が怖すぎたことを今でも忘れられません。脂肪はあって、見た目ではこんなに筋肉がなくなっていることに気がつきませんでした。
「痛みが出てから安静にしている間に、こんなことになっていたのか」と、ごっそりなくなってしまった左足がかわいそうになりました。
それから、お尻の筋肉「中殿筋」「大殿筋」と太ももの後面の筋肉「ハムストリングス」を生活の中でも意識するようにしました。
時々触っては、「ここを使うんだよ」と体に教えてあげます。


ハムストリングスと中殿筋の場所を図でお示ししておきます。


体って本当にすごいです。
話しかけて意識して「E-サイズ」を行っていくうちに、まさに「眠っていた筋肉が目覚める」かのように、ちょっとずつちょっとずつ筋肉が動き始めて使われ始めるのを体感することができます。日に日に筋肉が育っていく感じがあり、可愛いくなっていきます。
効果を毎日感じることができるので、毎朝本当に楽しみでした。「効果を感じる=痛みが減っていく」のもとても嬉しかったです。

毎日続けることは簡単!


こうして毎日自分の筋肉に少しずつ目覚めてもらうように働きかけ、それに応えてくれるかのうように筋肉さんたちが少しずつ目覚めて育ってきている感覚を毎日得ることができるので、毎朝楽しく、「自分で毎日続けられるだろうか?」なんてことは全く考えなくなりました。
毎朝「E-サイズ」を行う、それも喜んで行う、というのが習慣化されました。「効果を感じることができれば、続けられるんだ!」と改めて体感しました

同時に、「毎日やる」ことの大切さがよくわかりました。自分の体は自分で動かして機能させてあげないと、良くならないということがわかったからです。機能させるためには、自分で「毎日やる」必要がありました。どんなに良いメソッドでも、実践しなければ意味がないということも改めて体感することができました。


最初、エゴスキューは1回の個人レッスンは比較的値段が高めだと感じたのですが、毎週通ったりする必要はなく、基本的に月に1回通うだけで、体がみるみるうちに変わり、変わった体は一生財産になるので、今では高く感じなくなりました。
他力本願ではなく、毎日自分自身で筋肉さんを目覚めさせ育てていくことの楽しさを覚え、筋肉さんも待ってましたとばかりに育ってくれました。

安全な方法に仕上がっている


「E-サイズ」は毎日自分だけで行いますが、自分だけで行うリスクというのもきちんと計算されているように感じました。
肩関節、股関節、膝関節、足関節の左右合計8つの関節を縦・横に直線で結ぶと、全てのラインが直角に交わり、左右対称になっているのが歪みのない正しい姿勢ということでした。この8つの関節が垂直水平90度を保っている状態では、強度と耐久力が高くなり、バランスが取れ歪みがなくなっていきます。「E-サイズ」では、この「90度の法則」を守りやすいように、床や壁を利用して安全なエクササイズに仕上がっていて、恐怖心や無理な体勢がなく、痛めている人でも行いやすい印象でした。


この「90度の法則」は日常生活の中でも取り入れることができます。パソコンや携帯での作業が多いとどうしても肩関節が前にいきがちになりますが、股関節の上に肩関節がないといけないことを意識するだけで、前のめりの体勢を意識的に防ぐことができます。

エゴスキューでなくても


エゴスキューでなくても、もし今何かしらの痛みで苦しんでいる場合、エゴスキューの概念から学べることは多いかと思います。
自分の筋肉に左右差はないか、歪みがないかなどチェックしてみたり、左右差がある場合は、どうして左右差が生まれたのかを考えてみる。
「安静にして使えていないから筋肉がなくなったのか」、もしくは、「片方に負担がかかりすぎて片方の筋肉が発達してしまったことにより相対的に左右差が生まれたのか」など、正解を導き出すのは難しいと思いますが、考えるプロセスがとても大事だと思います。


筋肉がなくなっているようであれば、自分の体と対話しながら、運動によって痛みが出ない範囲で、筋トレを行うことはとても良いと思います。その際は、できるだけ体重の負荷がかからないように、椅子に座ったり、横になって安全に行うことが大切です。また、育てたい筋肉に話しかけながら行うことも筋肉復活の近道だと思います。


また、先ほどの「90度の法則」を日常生活に取り入れるのも良いと思います。人によって癖が違うと思いますが、私の場合は重心が前にいきがちです。少し後ろすぎるかな?というくらいでまっすぐなようですので、普段歩く際などにも少し意識するようになりました。
このように、日々の中で実践していき、新たな発見をしていくことが「自分で治す」ために、遠回りなようで実は近道なのかもしれません。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。1回目のエゴスキューが始まり、みるみるうちに体が変わっていき、痛みもかなり改善しました。気がつけば、2回目のエゴスキューまでの35日間で1日だけ起きられずにできなかった日がありましたが、34日間行うことができました。
自分でも驚きです。
次回は、エゴスキュー2回目のお話です。ぜひご覧ください。よろしくお願いします。


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ABOUT ME
Dr.K
都内在住の30代女性。 内科医として、西洋医学・東洋医学を学び、現在都内で勤務医をしています。 自身が幼少期から気管支喘息、アレルギー体質であり、また大学時代の左前十字靭帯断裂後手術を受け、そして現在、変形性股関節症と向き合っています。 このブログでは、私自身が抱える健康問題に関して、西洋医学・東洋医学・代替療法・民間療法・スピリチュアル的なアプローチなど、興味が湧き、自分で納得したものを取り入れ、その結果をシェアしていきたいと思います。ゆくゆくはHolistic(ホリスティック)医学(=人間をまるごと全体的にみる医学)を提供できる医師を目指しています。